ツイッターをつらつら眺めていると、小さい子を持つお母さんたちの悲鳴のようなツイートを見かけて、こちらまで苦しくなることがよくあります。
うちは、もうほとんど「子育て引退」寸前まで来ているので、現役バリバリだったときの記憶は消えかかってるんですが、今、「女性活躍」だの「イクメン」だの、テイのいいことを言ったって、子育ての”大変感”っていうのは、その当時(10~15年前)と変わってない……いやむしろ悪化しているような気がしますね。
というのも、いくらダンナさまがイクメンでも、その家庭における最終的な「子育て責任者」「家事責任者」が女性である場合、イクメンなんてただのバイトですから。
会社だって、バイトがいくらいたって仕事が回らないでしょう。それと同じ。
そのへんの意識が変わらない限り、いくら保育園が増えても女性の大変さは大きくは変わらないでしょうねえ。
それはさておき。
香港で見たとある光景
この夏、香港に行く機会がありました。
旅の目的は、仕事でお世話になった方が主催されるパーティに出席するため(まるで国際派みたいですが、長く仕事していてこんなの初めて)。
で、ゴージャスな会員制のレストランで行われたそのパーティにて。
隣の席に座られたのが、ご主人の海外駐在でアジア各地を転々とされてきたエレガントなマダム。ひとしきり談笑したあと、その方が小声で私に耳打ちしたところによると……。
「あそこに白人の家族がいるでしょう? いっしょにいるのはフィリピン人のメイドよ」
なるほど、ちらりとそちらを見ると、おしゃれした白人夫婦+子供3人ほどのグループの中に、ジーンズ姿のアジア女性が一人。
「彼らはね、自分たちがゆっくり食事したいから、メイドも一緒に連れてくるの。子どもが騒いだら食事どころじゃないでしょう?
こっちの共働きの夫婦は、家事も育児も全部メイドさんにおまかせで自分たちは何もしないの。
日本だけよね、子供を自転車の前と後ろに乗せて髪振り乱して保育園の送り迎えをして……。日本のお母さん、本当にたいへんだと思うわ。世界中探したってあんなの日本だけでしょう。あれを見たらもう無理って思っちゃうわ……」
ですよね~~~~。
同僚の冷たい視線の中、「すいませんすいません!!」と定時で上がってそのままお迎えに行って、買い物してごはん作って、洗い物して、お風呂に入れて洗濯機回して、保育園の明日の準備して、連絡帳書いて、その間に子どもが泣いたりして、子どもが寝たらさらに持ち帰った仕事してって……。
これ、「無理ゲー」ってやつですよね。
イタリアではこんなことがあった
そんなことを考えていたら、ふと、昔のことを思い出しました。
わたくし、以前勤めていた会社をやめてから、イタリアはフィレンツェで1カ月ほどホームステイしていたことがありまして。
ホームステイといっても朝と夜2食つきの下宿屋さんみたいなもので、食事はそのうちのマンマ(お母さん)が作ってくれる(このうちのマンマは料理が大好きで超おいしかったです)。
で、そのステイ先のおうちは息子夫婦との二世帯同居で、お嫁さんは外に仕事に行き、食事はぜ~~んぶ姑であるマンマが作ってました。おそらく洗濯もマンマがやっていたに違いない。
マンマは働き者で、下宿人の食事も全部つくり、お父さんはマンマの仕事を手伝っていました。
姑さん夫婦は息子のお嫁さん(ブラジル人)が可愛くてしょうがないらしく、わがままいっぱいな彼女を目に入れても痛くないほどめちゃくちゃかわいがっていた。
いやほんと、お嫁さん、なんもしてなかったわ~。でもみんな仲が良くて楽しそうだった。
そんなわけで、たまたま見かけた状況が、
奥さんがとても楽そうで、
なにより、「子育て、家事、一切しなくてもなんとも思わない」鋼のメンタルがすごいなと思ったしだいです。
思うに、なんでこう、日本て、女の人が楽してたらいけない、みたいな空気になっちゃうんでしょうね? 女の人自身も。マジメか!って話ですね。
そういえば、調査によると、日本は女性の睡眠時間が世界一短いじゃないらしいですか。
やっぱ無理ゲーですよ、ほんと。